経営理念の作成

経営理念と何か?

経営理念とは、経営についての3つの重要な問い、「なぜ、私たちはこの仕事をするのか?」「どのように、この仕事をするのか?」「将来、どんな会社になりたいのか?」に対する答えです。したがって、この3つの問いに対する答え、ミッション、バリュー、ビジョンの3つがワンセットで経営理念です。この経営理念の構造は、人を動かすのは「Why→How→What 」の順番だというゴールデンサークルの考え方に基づいています。

なぜ、経営理念が必要なのか?

では、なぜ、経営理念が必要なのでしょうか?それは、人間が本質的に意味を求める存在だからです。経営理念の必要性を説明するのに、よく挙げられるレンガ職人の寓話があります。

旅人がある町はずれの一本道を歩いていると、職人が難しそうな顔をしてレンガを積んでいました。何をしているのかと聞くと、「見ての通り、レンガを積んでいるのさ」と答えました。

しばらく行くと、一生懸命レンガを積んでいる別の職人に出会いました。何をしているのかと聞くと、「ここで大きな壁を作っているんだ。この仕事で俺は家族を養っているんだ」と答えました。

さらにもう少し歩くと、別の職人がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいました。何をしているのかと聞くと、「ああ、俺たちのことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を作っているんだ」と答えました。

最初の職人は、おそらく、親方に言われるがままにレンガを積んでいるのでしょう。彼にとって、レンガ積みには何の意味もなく、ただ、親方に命令された義務としてやっているのです。

2番目の職人は、レンガを積んでいる目的は大きな壁を作ることであることを理解しており、この仕事に家族を養うためという意味を見出しています。

最後の職人は、レンガ積みに歴史に残る偉大な大聖堂を作るという意味を見出しています。この職人がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいるのは、自分の仕事に誇りとやり甲斐を感じているからです。

最初の職人の動機は親方から強制された義務。2番目の職人の動機は家族を養うための報酬で、いずれも外部から受ける要因がきっかけとなって行動を起こす「外発的動機」と呼びます。これに対して、最後の職人の動機は仕事そのものが楽しいからやりたいというもので、人の内面で自発的に沸き起こる要因によって行動を起こす「内発的動機」と呼びます。

そして、最初の職人よりも2番目の職人、そして、2番目の職人よりも最後の職人の方が仕事にやり甲斐を感じているのは明らかです。言い換えれば、「外発的動機」よりも「内発的動機」の方が行動を起こすうえで強力なのです。

つまり、経営理念の役割とは「内発的動機」をつくりだすことであり、組織の全員が本心から共感できるミッション、価値観、ビジョンを反映した経営理念は、組織の結束と決意を生み出します。

経営理念のつくり方

経営理念を作成するうえで大切なのは、社員一人ひとりが「この仕事はやり甲斐がある」「こんな風に考え、行動したい」「こんな会社になったら最高だ」と心から共感できるものにすることです。そのためには、経営幹部だけでなく、社員全員が意味のあるかたちで作成のプロセスに参加することが重要であり、社長がセミナーに出席して数時間で作成したものを上から押し付けても機能しません。

当社では、「経営幹部のインタビュー」→「社員アンケート」→「経営理念ワークショップ(社員代表)」→「経営理念ワークショプ(経営幹部)」という4つのステップを経て、経営理念を作成するお手伝いをしています。