シナリオ・プランニング

先が読めない時代

あなたの会社はこんなことで悩んでいないでしょうか?

  • 自動運転が実現したら、物流業界はどうなるのだろうか?
  • 東京オリンピック後に建設業界はどうなるのだろうか?
  • アマゾンがこのまま成長し続けると、小売業界はなくなるのではないか?
  • 自動車がすべてEVになったら、自社のビジネスにどんな影響があるのだろうか?
  • AIが進化すると多くの仕事がなくなると聞いているが、自社の仕事は大丈夫だろうか?

これまで誰も経験したことのない、先が読めない時代に突入しています。世界の政治・経済情勢が流動化しているとともに、AIやIoT革命などテクノロジーも急速に進化しています。

経営者を漁船の船長に喩えれば、船長の最も重要な仕事は魚群のいる漁場に船をナビすることではないでしょうか。そして、誰よりも先に魚群を見つけるためには、魚群を追いかけるのではなく、魚群の行く先を予測して、先回りして魚群が現れるのを待つことです。

孫正義の時代を読む力

これを実践しているのが、ソフトバンクの孫正義社長でしょう。

ソフトバンクは、元々はソフトウェアの卸売商でした。ソフトウェアの重要性がまだあまり認識されていなかった時代に、これからはソフトの時代だと読んだのです。次に、インターネットの時代が来ると読んで、米国のヤフーを買収して、ポータル事業を始めます。

さらに、モバイル時代が来ることを読んで、ボーダーフォンを買収して、携帯事業に参入します。AppleがiPhoneを売り出すと、iPhoneの独占販売権を手に入れ、携帯事業のシェアを大きく伸ばしたのは、よくご存知のことと思います。

そして、最近では、IoT時代の到来を見越して、イギリスの半導体設計会社アーム・ホールディングを買収しました。

論理的に未来を読み解く方法

まさに、「神眼」とでも言うべき恐ろしいほどの先見性です。この未来を読む孫社長の「目利き力」は世界でも高く評価されており、サウジアラビアのムハンマド皇太子は孫社長のソフトバンク・ビジョン・ファンドに約5兆円の投資をしています。

不確実性の高い現代にあって、経営者には孫正義社長のように未来を読み解く力が必要です。

その力を与えてくれるのが、シナリオ・プランニングという手法です。

シナリオ・プランニングとは、「起こり得る未来についての複数のストーリー」(シナリオ)を描き、それぞれのシナリオが実現した場合の戦略をあらかじめ考えておく経営戦略の手法です。

1970年代はじめに石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが開発した手法で、73年の石油危機をシナリオの一つとして事前に予行演習していたため、石油危機をうまく乗り切り、セブン・シスターズと呼ばれた石油メジャーの下位企業から、ナンバー2に躍進することができました。

現在では、多くの企業で経営戦略を立案するツールとして使われており、「ワークシフト」や「ライフシフト」で有名なロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授もシナリオ・プランニングを使って、未来の働き方や生き方についてユニークな提言をしています。

シナリオ・プランニングの4つのステップ

シナリオ・プランニングは、①テーマを決める、②モレなく情報を収集する、③未来を形づくるフォースを見つける、④シナリオをつくる、という4つのステップで行います。

まず、何についてのシナリオをつくるかを決めます。例えば、「10年後の宅配業界」というようなテーマを設定します。

次に、シナリオをつくるための情報を漏れなく収集するのですが、世界の環境→業界の環境→自社ビジネスの環境という順番で、外側から考えていくことが重要です。

いま、世界で何が起きているかを把握するために、「セプテンバー(SEPTEmbe)」と呼ばれるフレームワークがあります。

これは、社会・価値観・文化などを意味するSociety、経済・税制のEconomy、政治・規制・政策のPolitics、科学・技術のTechnology、地球環境のEcologyの5つの頭文字を覚えやすいようにつなげたものです。

世の中の変化と動向を捉えるためには、常にアンテナを張って情報を収集する必要がありますが、情報収集に「モレ」がないようにするためのものです。

業界の未来を考える

こうした世の中の大きなトレンドをつかんだうえで、それが自社の業界にどんな影響をもたらすかを考えます。

自社ビジネスの未来を考えるためには、業界の未来を読み解くことが決定的に重要です。

なぜなら、企業の競争力はその業界の構造によって決定されるからです。

ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、業界内には企業の競争力を決定する次のような5つの力があることを明らかにしました。

世の中の大きな変化が業界内のこの5つの力にどんな影響を与えるかを考えることで、業界の構造がどのようになるかを考えることができます。

未来を形づくるフォースを見つける

未来を考える場合、「確実に起こりそうなこと」と「起こるかどうかわからないこと(不確実な要素)」があります。

例えば、「10年後の宅配業界」を考えてみましょう。現在、宅配業界ではドライバー不足が深刻ですが、生産年齢人口の減少という世の中のトレンドを考えると、10年後もドライバー不足は「確実に起こりそうなこと」です。

しかし、Amazonなど荷主の力の大きさを考えると、宅配料金が上がるかどうかは分かりません。

つまり、宅配業界の未来を考える場合、宅配料金が上がるシナリオと宅配料金が上がらないシナリオの2つのシナリオが考えられる訳です。

このように、「確実に起こりそうなこと」と「起こるかどうかわからないこと」を区別し、「起こるかどうかわからないこと」に着目することで、起きた場合のシナリオと起きない場合のシナリオを考えることができます。

「起こるかどうかわからないこと」はいくらでもありますから、論理的には無限の未来を考えることができます。

しかし、あまりにも多くの未来を考えると複雑になり過ぎるので、通常、自社の業界や自社のビジネスに最もインパクトを与える不確実なキー・ドライビング・フォースを2つ特定して、4つのシナリオを考えます。

シナリオをつくる

キー・ドライビング・フォースを2つ特定したら、いよいよシナリオをつくります。先ほどの宅配業界の例では、「宅配料金が上がるか、下がるか」をキー・ドライバー・フォースの一つとして挙げましたが、もう一つ、「宅配の完全無人化が実現するか、しないか」というキー・ドライビング・フォースも考えられます。

キー・ドライビング・フォースは、シナリオをつくりやすいように、先ほどの例のように「宅配料金は上がるか、下がるか」のように2択にします。

「宅配料金が上がるか、下がるか」「宅配の完全無人化が実現するか、しないか」をそれぞれ横軸と縦軸にしてマトリックスをつくると、下図のように4つのシナリオが出来上がります。

 

シナリオ・プランニング・ワークショップ

当社では、シナリオ・プランニングのつのステップから各シナリオごとの戦略策定までのワークショップを、お客様のご要望に応じて、1回から数回のセッション(1セッション5時間)でご提供しています。

普段、ルーティンの仕事に追われて、未来について考える余裕がない経営チームが集まってワークショップを行うことで、未来のシナリオについて共通認識を持ち、新たな視点で戦略を考えることができるようになります。

先が読めない不確実な時代だからこそ、未来を先取りした戦略の有無が勝負を決めます。業界と自社ビジネスの未来について、一度、じっくり考えてみませんか?